【短】最後に君に。

最後の願い

「…今日と明日境目である午前0時頃、、彼女に触れられる…触れたら夢に入れる」
「分かりました、、!でも俺行きたいとこあるんで夕方ですけど行きますね!!」
「あぁ、、悠太…?」
「はい?」

俺が行こうと歩きだしてた時、番人さんに呼ばれてくるりと振り向いた。

「…頑張って来い」
「…はい!!」
俺は番人さんに笑顔を向けてから地上に下りた。


―…
「おーい山下!!もう今日上がれよー」
「あ!先生!!…俺、もうちょっとだけ投げてから帰ります!!!」
「そうか?…無理すんなよー、、じゃあお疲れ!!」
「お疲れ様です!!」

山下…頑張ってるんだな。
ただがむしゃらに一人でボール投げ込む山下をただ見つめる。

こいつなら…鈴夏を大事にしてくれるだろうな、、。

山下にずっとついて行くと、山下は出会った子供達と話したり、近所の人達に挨拶したりして家に帰った。

ははっ…こいつ俺より良い奴じゃん。
俺は無意識に笑ってしまった。
「山下、、鈴夏をたのんだぞ…!」

俺が言うと、山下は何も見えないはずなのに何故かこっちを見た気がした。
「なんか、、無駄にやる気が出て来た気がした!!…よし、走ってこよ!!!」

パタンと扉を開けて去って行った。
「ははっ!…山下には敵わねえな」

そう呟いてから俺は部屋を出た。



時刻は午後11時59分。
俺は寝ている鈴夏の傍らに立っている。
時計の長針と短針がカチッと動いた時、、俺は鈴夏にソッと触れると光に包まれた。


< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop