【短】最後に君に。
「俺さ、、ほんとに鈴夏には幸せになってほしいんだ…俺が出来なかったから、だから、、もう俺を気にしなくて良い」
『ッ、、悠太…!』
「俺を忘れて、、前を向いて歩いてくれ」

これが、、俺の最後の強がり。
だから何も言わないで聞いてくれ…

そう願って目をきつく閉じていると、鈴夏は俺の頬をぎゅーって摘んだ。
『悠太は嘘つく時に目を絶対閉じるよね…!ッ、、私は悠太を…忘れるつもりはない!!!』
「…鈴、夏」

鈴夏のひまわりのような明るい温かい笑顔…久々に見た。
俺に向けられた最高の笑顔―…

「…俺を忘れたら鈴夏は幸せになれると思ってた」
『そんな訳!、、ッないでしょ!!…私が好きなのは悠太なの!』
「…ありがとう、、ただこれだけは約束してくれ」

鈴夏の顔を見れば涙を流しながらも昔のように笑って俺を見てくれている。
だから俺も笑うよ?

「もし好きな人が出来たら俺に気を使わないでその人と幸せになってくれ」
さっきとは違って迷いない目で言うと、鈴夏はこくりと頷いた。

『分かった…!』
「前を向いて…笑って過ごしてくれ!!絶対に幸せになってくれ、、!!」
『ッ、、わかっ、たよ…!!』
「…ははッ!!、、やっぱり泣き顔も笑顔も大好きだぞ」
『…私、も大好き、、!!』

にっこりと笑う鈴夏、、それと聞こえてくる鐘の音―…
あぁ…多分時間なんだろうな。

「鈴夏、、俺そろそろ行くな…今度こそ天国に行く、、だけど…!!辛くなったら空を見て笑え..!!…俺がついてるからな」
『ッ!…悠太、、!逢いに来てくれて―…!!』
軽く唇を重ねて俺達は同時に言った。



   "ありがとう"




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