バンビ
最近たまに、こうやって呼び出されるようになった。


大体この後のパターンは、人気のない体育館裏とか空き教室とかにつれてかれるんだ。
今回も例の如くって感じだな…





「レンくん、マイが付き合って欲しいんだって…」

真ん中の子がもじもじしながら俯く横で、三人組の一番背の高い子がそういう。


この子達のことは、少し知ってる。
真ん中が確かマイちゃんで、彼女の右側で肩を抱いてあげてるのがうちの野球部のマネージャー

背の高い子は、確かソフトボール部の子だ。



いつも三人で、僕たちが練習したりしてるのを見に来ていたから、自然と挨拶ぐらいはするようになってた。



「付き合うって、どこに?
今日は部活があるから無理だよ。」



あえて空気を読まないフリして、微笑みながらそう伝えると、真ん中のマイちゃんはシュンとした顔になってさらに俯いた。


「二宮!そういうことじゃなくてさ、解るでしょ?」


マネージャーが呆れたようにそう返してきたけど、当事者のマイちゃんは相変わらずなにも言わないでいる…





あーもうマジでめんどくさい…

コクるなら自分で言いにきてよ

そしたらちゃんと断るのに。




「僕、忙しいから無理。ゴメンネ~」



それだけ言うと、僕はその娘達に背を向けて、さっさと自分の教室に戻った。
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