もしも、世界が美しかったら
忘れた方が辛くないけど…
忘れた方が寂しくないけど…
忘れた方が苦しくないけど…
俺たちが過ごした思い出を、
確かに刻んできた時間を、
なかった事にはしたくないから。
「ちゃんと現実を受け止めよ…」
もう二度と還っては来ない。
もう二度と会えやしない。
それは変えられない現実だけど…
でも…由輝はここにいたのも、
同じ現実だから。
「だから……愛輝が由輝のこと…憶えててやって……っ?由輝との思い出…忘れないで………」
――――なんて、そんなの所詮
綺麗ごとだって君は笑う?
「りく…は……?」
「え…?」
「利玖は…由輝ちゃんのこと……忘れちゃうの…?」
振り絞った様な愛輝の声。
キュウッと心臓を掴まれるような気持ちになった。
切なくて、切なくて……
「俺も忘れない。由輝も…由輝との思い出も………絶対に…っ……全部…忘れないないから……」
思いっきり愛輝を抱きしめた。
愛輝は何も返事しなかったけど、
相変わらず震えていたけれど、
微かに笑った気がした。