もしも、世界が美しかったら
由輝の夢でも見ているのか?
「これからは………俺が…愛輝を守るから……」
そう言って軽く頬に口付けた。
不意に…閉じた愛輝の目から一筋の涙が伝った。
俺はそれを脱ぐって部屋を出た。
――気付かなかったんだ…。
愛輝の頬を伝ったのは、
自分の涙だったってことに…。
「ただいま……」
「おかえりー…ってどうしたの!その怪我!?」
お袋も明美ちゃんも驚きを隠せない表情で俺をみた。
「別に…」
「消毒したげるからこっち来な」
救急箱を取りに行くお袋を見て、ため息が出た。
「ごめんね、利玖…」
「なにが?」
「その傷…愛輝でしょ」
「まぁ……」
あの家には俺と愛輝しかいなかったわかけだしな…。
「愛輝……泣き疲れて寝た。」
「そう…良かった。由輝が亡くなってからあの子、寝てなかったみたいだから……」
明美ちゃんは安心したように、息を吐いた。
「………明美ちゃん」
「なあに?」
「これからは…俺が愛輝を守るから。……だから、安心してね」
明美ちゃんの目から涙が溢れた。
手で顔を覆いながら、小さな声で
「ありがとう」と呟いた。