もしも、世界が美しかったら

―玲side―





何やってんだ……。

自分の下で静かに眠る相原を見て顔を引き釣らせる。

(人口呼吸なんて)

……………アホだろ俺。

そもそも相原らしき後ろ姿を見つけたからって近づいた事自体が間違えている。

そういや、並木にジュースやった事もあったよーな…。


「…………。」

コイツらのグループ苦手かも…。

相原たちのグループの連中と関われば、無意識に自分で自分のペースを崩していってる気がする。

全く俺らしくない。

「……っ?」

不意に視線を感じた。

しかし、回りを見渡しても俺と相原以外の人はいない。

気のせいか……?

―――とりあえず…

「コイツ、どうすっかな……」

横たわる相原を見る。

コイツには借りがあるからな…。

幸い相原の家は知っている。

「………。」

仕方ない、か。

俺は相原を背負い墓地を出た。




しばらく住宅街を歩く。

「ここ、だよな…?」

俺の記憶が正しければ、この家で合っているはず…。

表札に相原と書いてあるのを確認し、インターフォンを押す。

しかし、誰も出てこない。

もう一度押してみるが、やはり出てこない。

明美さんは仕事か?








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