実話〜頭文字(initial)─K─



そして、その翌日の事……


早朝6時半、車で会社に向かうKさんはバイパスの赤信号に引っかかり、煙草を吹かしながら信号が青になるのを待っていました。


そこに、後ろからやって来てKさんの《サニートラック》の横に並んだのは……



「ん?あれは、夕べのお巡りじゃねぇか……」


再び戦争勃発か!


と思いきや。




パトカーに乗ったあの警察官は、引きつった笑顔でKさんに無言で頭を下げると……



信号が青に変わった瞬間、まるでゼロヨンレースのような素晴らしいスタートダッシュで、逃げるようにKさんの視界からみるみるうちに遠ざかって行ったのでした。



そして、そんなパトカーの後ろ姿を見ながら、Kさんは呟くのでした。





「スピード違反だろ……あれ……」



< 28 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop