実話〜頭文字(initial)─K─



背後に立つ社長の存在に気付き、幾つもの軍手の玉を抱えたまま、後ろを振り向くKさん。



そして、言ったのです。














「何って、鳩を追っ払ってるんだけど?」




社長を相手に、全く臆する事なく平然と言い放つその態度に、僕の目は点になりました。



(それだけ……?)


社長にしたって、こんな返答は予想外だったに違いありません。


社長の少し困惑した表情を見ればそれは判ります。



きっと、大慌てして謝罪する僕達に説教のひとつでもしてやろうと思っていたのでしょうから。


「仕事はどうしたのかね?仕事は!」


当然、そうなるでしょう。


このままで終わる訳がありませんから……



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