ADULT CHILDREN
小学校に入学してからは学校の時間が長くなり、友達ができた事で親がすべての世界から少しだけ足を出す事ができたが
母からの嫌がらせは相変わらず続いていた。


「あんたは本当の子じゃない」


幼稚園の頃からの言葉は数が減る事なく毎日のように言われ続けた。

母は不器用だったせいか、私の髪をまるで男の子のように短くしてクラスの人に笑われた事で落ち込んだ事もあった。


１年生の夏。

プール授業のはじまり。

顔を洗う事さえ躊躇う程水が怖いというのに
プールが怖くない訳がない。

学校に行きたくない。
プールが怖いと母に打ち明けた。

すると母は嫌がる私の腕を跡が残る程強く掴み、階段から引きずり落として鞄と一緒に家の外へと放り出す。


「さっさと学校に行け！」


何度突き飛ばされようと、この時ばかりは引き下がらなかった私に
母は諦めたのか、プールを休ませてくれと渋々担任に電話を入れた。


翌日、私は学校から帰るなりスイミングスクールに連れて行かれた。


両手で掬う水の中に顔をつけてと差し出された私が首を大きく横に振ると、コーチは私の予想に反して笑顔を見せる。


「これから頑張ろうね」


怒られると思っていた私はそんなコーチの笑顔に安心し、通う事を決意できた。

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