ADULT CHILDREN
「このコースを二つ、あとこれも」
紗枝は馴れたようにメニューを指で指しながら店員に告げる。
私は馴れない雰囲気からか何度も椅子を座り直したり、落ち着きがなかった。
「どうだった?けんちゃん」
「なんかイメージ違った!もっと親父が来ると思ってたから」
「まあ確かにけんちゃんは。かなりいい方だからね」
それから紗枝はけんちゃんの事を色々教えてくれた。
どこかの会社の偉い人らしく、車を3台も持っていて結婚もしていない。
テレクラに電話して出会って、一度もヤッた事はないという事。
「ほんと使えるんだよ。援交相手がみんなけんちゃんみたいな人だったらいいのに」
紗枝は運ばれてきたスープのお皿の底ををスプーンで突きながら言った。