ADULT CHILDREN

自分の部屋に戻って十分もしないうちだった。

母の怒鳴り声が聞こえてくる。


足音をたてないように廊下に出てリビングを覗くとそこでは母が泣き叫び、父が困惑していた。


「私の頭がおかしいっていう訳!?誰がおかしくしたのよ!あの子やあんた達でしょ!!私はおかしくない!!周りがおかしいのよ!!あの医者がおかしいのよ!!」


「だから一度通ってみたらいいだろう…医者にそう言ってみたらいいじゃないか」



「嫌!!絶対行かない!!絶対嫌!!」



大きなため息をついて寝室に行こうとする父の背中に、母は荒げた声を投げつける。


「また逃げるの!?いつも都合が悪くなったらそうやって逃げるんだから!!」


泣き叫ぶ母を置いたまま、父がリビングを出ていき私も慌てて部屋に戻った。

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