ADULT CHILDREN
「自分の悩みを話したくないなら別に無理して話す必要はないと思う。けどさ、さえこちゃん。全部自分の中に溜め込んでない?なんかそういう風に見えるんだけど」



まるで心の内を見透かしているような言葉だった。


私は自分の悩みを人に相談する事をしなかった。



「確かに自分の中で考えて考えて解決できる人もいるよ。でもそれって、すっごいきついんだよ。無理しなきゃいけないんだよ?さえこちゃんそれできる?」



黙ったまま膝を抱える私に佐藤さんは続ける。



「人に話して同情されるのが嫌?どうして?」




「…可哀想と思われる事が嫌。話した時点で私は可哀想な子になる。それにこんな事話したって誰も信じないでしょ。」

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