ADULT CHILDREN
しばらくして嫌味が聞こえなくなったかと思えば
誰かに電話しているようだった。

その相手は誰まではわからなかったが
この時母の言った言葉が私を壊すきっかけとなる。



母が電話している間に食べ物を探そうと
リビングのドアに手をかけた時、その言葉は聞こえてきた。



「私子供嫌いなのよ。大体あの子達がいなかったら今頃離婚してるわよ。…え?あ、うん雄太一人なら離婚してたかもね」



すぐにその言葉の意味を理解した。


私は不要な子。

いらない子だと。


泣きそうになり、部屋に戻ろうとする私に母の言葉が追い撃ちをかける。



「子供なんて産むんじゃなかった。人生最悪よ」


涙する私とは逆に、母は笑っていた。



母は私達などいらなかったと笑った。


それは
私を愛していないと言ったも同然。


14年間求め続けてきたものが
永遠に手に入れる事のできないものだとわかった時
私の心に大きな穴が空いた。



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