ADULT CHILDREN
私がそう言うと修平はしばらく黙り込んで言った。



「姉ちゃん…俺、行くとこない…」


「何言ってんの?うちに来ればいいでしょ…?」



「姉ちゃんにも兄ちゃんにも迷惑かけるだけだし…親父はこんなだし…俺、生まれてこない方がよかった…」



「迷惑なわけない!いつも姉ちゃんがいるって言ってるでしょ!?」



修平の心の傷の傷みが手に取るようにわかる。


居場所がなかったあの頃の自分と同じ辛さを今、修平は感じている。



だからなんとかしないと…助けてあげないとって。



助けなきゃって………。



「…ねぇ修平」


「ごめん…俺もう…」



修平は私の言う事に耳を傾ける事も、最後まで言い切る事もなく電話を切った。

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