大嫌い、でも、大好き


パパとママが何か話してるけど何も頭に入らない。

ただ、悠希に何も聞いていない事がショックで…

悠希にお前はいらないって言われたような気がした。



「―…ご馳走様。」


「もう良いの?」


「うん。……悠希食べて良いよ。ハンバーグ。」



これ以上は此処にいたくないもん。

悠希の顔見たら、いらない事まで口から飛び出しそうなんだよ…



恋をするって幸せな事なのかと思ってたのに…












――――――――
――――――




私が部屋に戻っても悠希は何も言わない。

あぁ、悠希にとって私はどうでも良い存在なんだね。



「――…私ってなんなんだろ…」



漏れだした本音が口から出たら有り得ないくらい落ち込む。

自分で言った事なのに…



「……千鶴、入るぞ?」


「…………もう入ってるじゃん。」



入るぞ、なんて言う前にもう入ってるし…。

デリカシーって言葉はたぶん悠希は持ち合わせてないような気がする。



「あ、…あのさ………」


「悠希……引っ越すの?それとも旅行?」



溜め込むのは性に合わない。

だけど…はっきり言われたらきっと胸がまたチクチクする。



「……引っ越し。戻るんだよ。」



戻る…?

悠希の家は私の家の隣じゃない。

他に悠希の家なんてないはすでしょう…?



「なんで?…なんで……悠希の家はあそこでしょ?」


「………俺にだっていろいろあるんだよ。」



いろいろって何?

私には言えない事なの?


悠希がいなくなったら……






――――…もう会えない?






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