大嫌い、でも、大好き


「なぁ、千鶴…俺さ、」


「いつ?…いつ引っ越すの?」



怖い…

悠希が何を言うか怖いの。


だから…わざと言葉を被せた。

わざと何も気にしてないみたいに明るく言うの。



「…わかんね。

母さんが戻ったらすぐかもしれねぇし、夏休みまでいるかもしれねぇし。」



悠希ママが帰ってくるの確か来週…。

来週には悠希がいないかもしれないの…?

夏休みって言ったって…あと三ヶ月くらいしかないじゃない。



「…………そっか…」


「なぁ千鶴、俺……お前が」


「っ、もっと早く教えてくれればよかったのに!」



"行かないで"なんて縋れない。

私は悠希の恋人でも家族でもない。


ただの、友達…。



「みんな知ってるの?」


「いや…」


「じゃあ話さなきゃね。ほら、悠希の送別会だってあるし!」



ねぇ、


私ちゃんと笑えてる…?



笑ってサヨナラできる…?






―――――――
―――――








「じゃあまた明日ね。」


「おう。」



くだらない話しをする事しかできなかった。


田舎の夜は真っ暗。

でも星は綺麗に見える。


キラキラして眩しいくらいに星は明るい。




また明日。


あと何日間、悠希に言えるのかな―…?








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