大嫌い、でも、大好き


――――――――
――――――



「なぁ、順平。」


「どした?」


「――…恋ってむずいな。」



日和を見つけて離れて行った千鶴を見ながら呟いた。

柄じゃない事を言ってるのはわかってるんだよ。

でもいつも思うんだ…。


恋って難しい。


…って。



好きなだけじゃ駄目なんだ。

好きなだけじゃ一緒にはいられないんだ。




「お前さ……難しく考えすぎ。」


「んな事…」


「あるね。最初は誰だって好きから始まるだろ?」



そりゃそうだ。

好きから始まらなきゃ一体どうやって始まるんだよ…



「夫婦だろうが、恋人だろうが、何だって好きから始まる。それが未来につながってくんじゃねーのか?」



何だって好きから始まる…か。

好きってだけで乗り越えられるならたぶん悩みもしねぇんだろうな。

それで乗り越えられないから別れがあるんだし。



「好きなら好きでいーんじゃねーの?お前はお前だろ、何があったって本質は変わらないんだし。」


「…………お前…たまには良いこと言うんだな。」


「たまに?いつもだろ?」



いや、たまにだな。

でもお前が親友でよかったよ。



好きなら好きで良い、か…。

そうだな。好きなのは変わらない。例え何があっても千鶴を好きなのは忘れない。


いや…忘れたくない。





「やっと告白か?」


「そんなんじゃねぇよ。大体………俺にはそんな資格なんてない…」




そうだ…俺には千鶴に好きなんて言えないんだよ。


きっと、俺は近い未来に




――――…千鶴を忘れてしまうんだから……






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