大嫌い、でも、大好き




俺だけの千鶴になってくれたらとかいつも考える。


けど…そんなん有り得ねぇじゃんって自分に言い聞かす。



なぁ、千鶴…

少しでも俺を好きなってくれたりはしないのか…?




ただ隣にいるだけで満足だったはずなのに欲はどんどん膨らんで醜く俺に色を付ける。








―――――――――
―――――――



「ねぇ悠希。今日付き合う変わりにお願いがあるんだけど…」



何だ?いつもこんな事言わないのに…

俺のほうが千鶴より10センチ以上ある身長のせいで意識していなくても千鶴は上目遣いになる。


――…そんな目で見るなよ…



「…悠希?聞いてる?」


「っ…悪い、何?」


「もう……だから、数学教えてほしいの。」



なんだ、そんな事か…。

そんな頼みなんていくらでも聞いてやるのにな。

千鶴は苦手なくせに無駄に意地張るから余計わからなくなるんだよな。


……そこもまた可愛いけど。



「バーカ。わかんねぇのに無理に進むから余計わかんなくなんだよ。」


「……そんな言い方ないじゃん!」


「あ?馬鹿は馬鹿だろ?」



いつも通りだ。

よかった、今日もいつも通りに千鶴に触れられる…。


こんな馬鹿げた時間が今の俺には掛け替えのない宝物なんだよ。



「おーおー…またやってんなぁ。バカップルが。」


「「バカップルじゃない!」」


「息ぴったりじゃん!」



バカップルなんて呼ばれるのが俺はスゲーうれしいんだ。

他の奴らには恋人に見えるのかって、ただそれだけでうれしくなる。



理由なんて簡単だ。




――――…俺が千鶴を好きだから。





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