ハムパンマン
「おや、もしかしてハムパンマン帰ってきたのかい? お帰り」





 充満していた煙は除々に薄れ、人の輪郭が見えるほどには視界は回復した。






「ハムおじさん……」
 




ハムおじさんは上下共に白い作業服をきて、コックのような帽子をかぶり、大きな燻製器から鉄板の上にのった、何やら大きなかたまりを取りだした。
 






ハムおじさんはそのかたまりを鉄板ごとテーブルの上にのせた。






そして僕の顔が食べられていることに気づき、








「なんだなんだ。今日はずいぶん沢山食べられてるじゃないか、ははっ。ちょうど今新しくハムが出来たところだよ。今回のは脂がよくのってて実に美味そうだ」
 







嬉しそうに笑う。
 








ハムおじさんは舌舐めずりをしながら、口からこぼれる唾液を腕で拭きとる。


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