流れ橋
わたしと朋子は、大きな鏡の前に立った。

浴衣を着るなんて、何年ぶりのことかな。

もうずっと、前のことだから忘れてしまっていた。

わたしは、鏡ごしに朋子の様子を見ていた。
おばさんから、花柄でピンク色の浴衣を着せてもらっている。

「朋子。ピンク似合うよ。かわいい。」

わたしは、鏡にうつっている朋子に話しかけた。

「サンキュ。でも、少し丈が短いんだよ。」そういって、何度も足元を確認している。

「いいじゃん。背が高くてスタイルいいんだから。」わたしは、いった。手足の長い朋子の隣に立つと、古典的日本人体型なわたしは、浮いている。
だけど、人混みの中に入ると、そんなことないだろう。むしろ、朋子の方が目立つだろうなと考えていた。

すると、わたしの考えていることを見透かしたように、帯をキュッと音がするくらい締めながら、お姉さんがいった。「藍ちゃん、撫で肩ね。浴衣が、よく似合うわ。」
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