流れ橋
朋子は、小声でわたしにいった。

「まぁいいや。やっと、これでそろったしな。行こうか。」先輩は、会場の方へと歩きだした。

田中くんは、何か言いたげな表情をしていたが、先輩に続いて黙って歩き出した。

「私らも行こうか。」朋子に言われ、わたしは、二人の後に続いた。

しばらく歩くと、人混みにいるにもかかわらず、スイスイと歩きやすいことに気がつく。
わたしは、前を歩いている二人の背中の大きさに圧倒されて、思わずジッと見た。

二人とも背が高く、胸板があつい。妙な威圧感を感じる。わたしは、大きな壁を前に歩いている感じがした。

「なるほど。それで、人にぶつからず歩きやすいのね。」わたしは、一人納得していた。

すると、田中くんが急に振りかえり「独り言、聞こえたよ。」と、ニヤリとした。

「藍子ったら。同感だよ。」朋子と先輩も笑っている。

「ごめんね。変な意味じゃないの。ただ、驚いて。」
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