流れ橋
夏の訪れ
このあと、いくら待っても、朋子からも田中くんからも何の連絡もなかった。

みんな、期末テストがあるので、今頃必死に勉強しているに違いない。

わたしも、眠気と戦いながら、必死に勉強した。

赤点を一つでもとると、夏休みに補習の為に学校に行かなくてはならない。そうなると、バイトもできなくなる。結局、わたしは、徹夜をした。

昨日、起こったことを早く朋子に話したい。
でも、朝の通学路では無理だな。時間がない。どうしよう。そんなことを考えていたら、「藍子、学校を遅刻するよ。」と階段の下から、怒鳴っている声が聞こえてきた。

やばい。時間がない。わたしは、急いで着替えると部屋を飛び出した。

「ご飯は?」お姉ちゃんが、たずねる。

「いらない。行ってきます。」わたしは、走って玄関を出ていこうとした。

「ちょっと、待って。はい、これと。後、帰りお父さんの病院、お願いね。」お姉ちゃんは、またビタミンドリンクをわたしに渡した。
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