更生は赤詰め草で

「結局、誰が主犯かもわからなかったんだろ?そんなアンタに渡す義理ねぇって」

「ざけんな!いい加減にしろっ!」

早苗は岡田に殴りかかった。
岡田は間一髪で避けるとカメラを仲間の一人に投げて渡し、反撃する。

それを合図に、周りにいたのも早苗に向かって走りだした。
そして、早苗の背後にいた一人が蹴りを入れようとしたその時

「あーもうさ、いい加減にしてくんない?何かあったら力にモノを言わせてケンカ。
バッカじゃないの?」

一同は、一斉に声のしたほうを振り返った。

後ろ手で縛られていたはずの縄を解き、さるぐつわを取り払って立ち上がる一人。
パンパンとホコリを払い落とし、腰に手を置いてだるそうにこちらをみる影は──

「…由香?」

「いい加減気づきなって。何で私ここで一人で縛られてると思ってんの?」

早苗は信じられない思いで、由香を見つめる。
おとなしくて、おしとやかだった由香が、こちらをにらんで、立ってる。

「何で?」

小さくつぶやいたソレは声が震えていた。

「ウザかったの。前から、さ」

「嘘…」

「人のこと守っていい気になっててさ、何なの?」

「そんなッ」

「だっから、アンタなんて大嫌いだったのッ!!」


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