あなたの大切なもの
「ちょ…、嘘…やんな? また前みたいに遊んでんねんよな? そんなんせんでええねんよ? ちょっと…起きてよ! 前みたいに笑かしてぇや!」

バタバタと、たくさんの人がやって来た。
救急員だ。
10分と言っても、それ以上の時間が経っている。


「すみません! 渋滞で…」

「お願いです! 刹那を助けて下さい! 刹那を――」

あたしは必死にすがりついた。

「病院まで、付き添いに来てください」

救急車に乗り込み、ずっと刹那の体を揺すり続けた。
< 216 / 270 >

この作品をシェア

pagetop