@名もなき冒険者
少年
─ 少年

お湯の上には色々なハーブの葉や薬草が浮いていた。

傷を負う事の多い冒険者が多く利用するからかな?

浴槽はリラックス出来るよい香りがした。


すぅっと深呼吸をしていると、壁の向うで声が聞こえる、他にも利用している者もいるようだ。

耳をすまして聞いていると、今日行く場所について話しているらしい。

ゲルスバ?とか言うとこらしい、話からするとオークの拠点の様だ。

オークが陣を敷く獣人支配の砦に行くというのに、話声からは明るさが感じられた。


一体この声の主は…。


そっか、ここでも情報は集められるんだな。

でも、あの声の主はどんな人なんだろう?

ちょっと気になるな。


温まったせいかとても体が軽い。

軽い体操をしているとさっきの声が聞こえた。


『うわ~、外は涼しいな~!』


振り返って声の方向を見ると、それは少々華奢に見えるスラッとした少年だった。

その傍らに少年の連れているモーグリがいる、なんと少年と話していたのはモーグリだった様だ。

モーグリって冒険者と出かけたりもするんだ、知らなかったな。

少年の装備は、領事館の支給品だった。

と言う事はまだそれ程の腕じゃないのかな?

そうだとしても来たばかりのわたしよりは大分マシだろう。
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