＠名もなき冒険者
ゲルスバ
─ ゲルスバ

わたしとリュートはゲルスバと呼ばれるオークの拠点に向かっていた。

ゲルスバはサンドリアに近い所にあり、サンドリアを監視していると言う。

途中何度もオークに遭遇した、ロンフォールにもオークは偵察の為の兵を送っているが、拠点に近くなるとその数も増えて来る。

オークは武を重んじる傾向があるとリュートが言っていたけど、確かに物理攻撃をしてくるオークの方が多いな「ブシドウセイシン」とか言うものがあの獣人にもあるのだろうか？


オークはうさぎとは違い、人を発見すると襲って来る。

うさぎはこちらから手を出さなければ、ただの野ウサギなのだ。

それと、オークは同種の戦闘には加勢して来る。

そして獣人は辺りの他のモンスターより強く、種族の技をいくつも持っている。

また、オークが好んで使う武器には石で出来た片手斧があり、それは固い石を削って作った原始的な斧で、赤い丸印の様なマークが付いている。

その傍らに槍や片手剣を持つオークもいるが、どうやら人から奪ったものなどの様で、鍛冶の技術はさほど進んでははなさそうだ。

この赤いマークがオークのシンボルマークなのだろう、赤のマーク以外には存在しない。

進むにつれてマークの数が増えてきた、拠点に近づいて来たみたいだ。

リュートは岩谷のつきあたりにある、トンネルの入り口で立ち止まった。

リュート『ここだ』

「この先がゲルスバ？」

リュート『うん、ここからはオークの支配下なんだ、チョット気合い入れてこう』


トンネルを進むにつれて向こう側の光が大きく見えてきた。

それ程長い距離ではないが、薄暗く湿気の多いひんやりしたトンネルだ。

そのトンネルを抜けるとガラッと雰囲気が変わった。

左右とも岩場に囲まれた狭い道が続いている、そこを進んでいくと例のマークが描かれた柱が道の左右に立っていて、その先は広場になっていた。

広場と言っても数多くの木々が立ち、一見では見渡しにくくなっている。

広場には数多くのオークの見張りがいた。
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