Dangerous city
あの街は、日本の地図から姿を消す事になった。

洗脳ともいえる強力なサブリミナルテープによって殺人鬼と化した街の住人一人一人をマインドコントロールから解放する事は不可能に等しい。

政府は街に残った錯乱者達を、自衛隊による掃討作戦で排除した。

分かりやすく言えば皆殺しにしたのだ。

勿論国民からも諸外国からも非難は集中した。

…だが、あの街から実際に生きて帰って来た俺には分かる。

もう彼らは人間ではなかった。

正常な人間の精神を持ち合わせていないのだ。

そんな錯乱者が数万人もあの街に溢れ返っているというのに、どうしろというのか。

綺麗事を並べる人権団体の連中は、あの街の真っ只中に足を踏み入れてみればいい。

事件を報じるワイドショーのコメンテーターを見ながら、俺は内心毒づいていた。

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