Dangerous city
どういう事なのか、事態が把握できない。

『つまりだ』

いつもと同じ、冷静な声で六道さんが言う。

この人はどんな過酷な状況下に置かれてもクールだ。

数々の修羅場を潜って来た経験が、彼に冷静さを保たせている。

『警察や消防救急がまともに機能しない…いや、できないような事態が、その街で起こっているって事だ』

…俺は足元に転がっているホテルの従業員を見下ろす。

警察や消防救急がまともに機能できない事態…。

嫌な予感が胸の中で膨らんでいく。

『いいか永瀬、俺もすぐに救援を手配してそっちに向かうが、そうそうすぐには到着できない。お前はその間、ハルカちゃんを守るんだ。必ず助けに行く。それまで何としても踏ん張れ、いいな?』

「…了解です」

俺は静かに奥歯を噛み締めた。

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