Dangerous city
電話を切り、俺はハルカの顔を見る。

「急いで支度しろ。必要最低限のものだけを持って、ここを出る」

「ちょ、ちょっと!」

ハルカが俺の腕を掴んだ。

「何が起きてるの?何か事件なの?」

「……」

俺は無言のまま動きを止め、ハルカの顔を見る。

…流石は外事四課の捜査官と付き合っているだけの事はある。

彼女は俺の表情を見ただけで、非常事態である事を即座に理解した。

彼女の表情もまた強張り、緊張していく。

…その事が不憫でならなかった。

高校生の時の『アミューズメントタワーシステム暴走テロ』の時から。

彼女は一般人でありながら、次々と不幸な事件に巻き込まれてしまう。

何の罪もない、何の謂れもないのに、命に関わるような危険に巻き込まれてしまう。

その度に、彼女は受けなくてもいい筈の心の傷を刻み込まれてしまうのだ…。

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