Dangerous city
「ハルカ」

傷の痛みも無視して、俺は彼女の手を引く。

少しでも遠くへ。

少しでも安全な場所へ。

錯乱者が近くにいる限り、足を止めている暇はない。

痛がるのも手当てをするのも、まずは安全を確保してからだ。

落下時に捻ったのか足も痛んだが、それを引き摺り無理矢理走る。

錯乱者達と距離をとりたかった。

連中の目の届かない場所へ逃げて、一度冷静に作戦を考えたかった。

< 39 / 131 >

この作品をシェア

pagetop