Dangerous city
考えてみれば、あれだけ派手にトレーラーが横転し、激しい衝撃音を立てたのだ。

錯乱者達が俺達に気づかない筈がない。

唸り声を上げ、各々武器を振りかざし、ゆっくりと距離を詰めてくる暴徒の群れ。

一人一人が、人殺しや強姦に対して何の罪の意識も持たない残忍で非道な殺人鬼。

そんな殺人鬼が、ざっと見積もっても50人近くいる。

行く事も戻る事も出来ないほどの大群だ。

完全に進退窮まったという奴だった。

「…二宮ハルカは…貴方が守りなさい…」

振り返る事なく八戸が言う。

「そっちはショットガン持ってんだ…いい仕事期待してるぜ」

俺も八戸の背中に対して言う。

軽口は叩くものの、追い詰められていた。

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