Dangerous city
目の前で同胞の錯乱者達が次々と撃たれている。

そんな状況を見ても、錯乱者達に恐れおののく様子はない。

むしろ凶器を振り上げ、我先にと襲い掛かってくる。

撃たれる事も、傷つけられる事も厭わないかのように。

恐怖心も、罪悪感も、既に彼らにはないかのようだった。

ただ殺戮に支配された精神は、正常な人間を殺す事に愉悦さえ感じている。

「!!」

至近距離にまで接近してきた錯乱者の手にしたカッターナイフが、俺の肩口を斬る!

「このっ!」

俺はソイツを足で蹴り剥がし、距離をとった所で太ももを撃つ!

咆哮とも呻き声ともつかない声を上げ、地面に倒れる錯乱者。

しかしその横たわった仲間を踏み越え、すぐに別の錯乱者達が迫ってくる!

後ずさりしようとして。

「恭一!こっちからも!」

ハルカの声で、背後にも錯乱者達が迫ってきている事に気づく。

完全な包囲網に、蟻の這い出る隙間もなかった。

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