Dangerous city
背後でいそいそと服を着るハルカの気配を感じながら、俺は電話を続ける。

「あーもしもし?304号室なんだけど。朝食をお願いしたいんだけど」

チェックインする時に、朝食を部屋まで運んでくれると事前にサービスの説明を受けた。

洋食か和食か選べるらしく、ハルカと相談して洋食にしようと決めていたのだ。

ところが。

『あ…あー…あアァァアァアァアぁァぁアァア…』

受話器の向こうから、おかしな声が聞こえてきた。

「…もしもし?フロント?」

かけ間違えたのかと思い、もう一度確認する。

『あぁぁアァァア…ァァアあぁぁあぁぁあァ…ウァアアァ…ァひはアアァアァ』

何やら不明瞭な、唸り声ともうわ言とも取れる声。

会話を成立させようにも、こちらの言葉を理解しているのか分からないし、相手の言葉も理解できない。

まるで原始人か何かと話しているようだった。

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