世界で1番愛してる
「涼太くんには…お母さんから伝えますか?」
そうだ…、涼太にも話さなきゃいけないんだよね。
これは涼太の事だもん。
治療するのだって…涼太だもんね。
「私は……っ」
「……私が言います。私にやらせてもらえませんか…?」
少しでも涼太の近くにいたい。
苦しみや痛みを分け合う、なんてカッコイイ言葉は言えないけど…
少しでも涼太の気持ちをわかっていたい。
ただの私のエゴだったのかもしれない。
「でもね…お嬢さんじゃ」
「大丈夫です。大丈夫……兄も看取りました。だから大丈夫。」
大丈夫、ただの自己暗示にすぎない。
でも、………大丈夫。
「シズ…」
「大丈夫だよ、ママ。涼太には私から言う。
涼太は強いよ。ちゃんと受け止められるよ。」
この時はそう思っていた。
でも……、
私は所詮は私でしかなかった。
涼太の気持ちの全部を
理解するなんて
できっこなかったんだ…。