Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 





 ……それは、知っている。





 胸が。

 僕のこの胸の痛みが、誰よりも良く知っている。




 僕は慌てて、真面目な顔になった。

「凛花の……好きな人は、やっぱり、松嶋先生?」

「そうよ!」

 即答する声に、僕の心の傷が、こっそり広がった。

「どんな風に、好きなの?
 例えば、あの刑事の兄みたい、とか、父親みたい、とか……前に付き合った誰かに、似ているなんて事は……?」

「失礼ね!
松嶋先生は、松嶋先生だから好きなんじゃない!
 他の誰かの代わりなんかじゃないわ!」



 ……!



 魅了じゃない。



 魅了の魔法なんかじゃない!




 過去に出会った、自分が側にて一番好ましいと思う者を、吸血鬼に投影する、魅了の魔法ではありえない。



 凛花は、本当に。




 松嶋の事を……残月の事を……好き……なんだ。




 
< 193 / 298 >

この作品をシェア

pagetop