Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
……それは、知っている。
胸が。
僕のこの胸の痛みが、誰よりも良く知っている。
僕は慌てて、真面目な顔になった。
「凛花の……好きな人は、やっぱり、松嶋先生?」
「そうよ!」
即答する声に、僕の心の傷が、こっそり広がった。
「どんな風に、好きなの?
例えば、あの刑事の兄みたい、とか、父親みたい、とか……前に付き合った誰かに、似ているなんて事は……?」
「失礼ね!
松嶋先生は、松嶋先生だから好きなんじゃない!
他の誰かの代わりなんかじゃないわ!」
……!
魅了じゃない。
魅了の魔法なんかじゃない!
過去に出会った、自分が側にて一番好ましいと思う者を、吸血鬼に投影する、魅了の魔法ではありえない。
凛花は、本当に。
松嶋の事を……残月の事を……好き……なんだ。