Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「……凛花に手を出しているのは、おれの上司だ……」

「……なに?」

「日本の警察のトップクラスの人間が、噛んでる。
 しかも、これは、申告罪だから、凛花が声を張り上げないと……罪に問えないんだ」

 凛花を見ると、目をぎゅっと瞑って震えている。

 お前は、兄の立場を思って、我慢をしていたのか?

 強くて優しい、凛花……?

「それで、お前は、指をくわえて、見ているのか?」

 穣の表情に、僕の眉間にしわが寄る。

 腐ってる。

「………仕方がないんだ!!」

「仕方がないわけがあるか!
 人の作った法とやらからも、外れているだろうが!」

 どうしょうもなく、腐っているじゃないか、ええ!?

 僕は。

 怒りが身を焦がしていくのを感じていた。

 凛花を直接傷つけた男に。

 そして、凛花の苦境を知りながら、放置していた、穣と残月にも。

 僕は凛花を泣かさないと決めた。

 知ったからには、凛花の涙の元になるモノは、排除してやる。

 片端しから、全て。


 ……そして、凛花の前から消えても遅くはない……
 
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