夢の跡
藍は顔を両手で多い隠し、何度も卓海、卓海と、
二度と帰ってこない彼の名前を嗚咽混じりに呼び続けた。


僕は藍を他の友人に任せ、ふらりと横断歩道の前に立った。


電柱の付け根に、同級生が捧げた花が飾られている。

僕は何も飾らない。

あくまで、卓海が死んだという事実を納得しきれていないからだ。

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