あたいの運命
礼恩、上京する

東京物語

今から6年前、25歳のときにあたいは初めて上京した。
地元のオバサンや知人、職場の仲間に聞かれたら「就職の為」と
答えてた。
けど、違った―・・・本当は精神科へ通うためだった。
「地元、宮崎で精神科に通いたい」と言ったあたいは
平手打ちを喰らい『家の恥』を曝す気か?と
言われた。
つまり、あたいは家庭のために切り捨てられた駒だった。

繰り返すのは幻影。
目を閉じると恐怖の闇があたいに襲い掛かる。

待ってるんだよ・・・もう一人のあたいが。
死神の釜を持った、もう一人のあたいが・・いる。

目を閉じると恐怖の闇があたいを待っている
幼い頃のトラウマを消す為にあたいは東京都足立区へ行くことにした。

トラウマと一言で片付けられれば気は楽だろう。
しかし、幼児虐待の記憶は並大抵ではない。


皆さんはご存知ですか?
背後から追かけられる恐怖を―・・・
奴隷と罵られ生きなければならない屈辱を―・・・
性的嫌がらせを受けながらも笑わなければならない、悲しみを―・・・
あたいの病気はPTSDそしてうつ病。

PTSDは半年で治ると医者の間で言われている、そうです。
それを聴いたとき、あたいは半狂乱になったわ。
医者はバカだって。

夢の中で何度も殺害され、日中でも幻覚を見るように
なったあたいは、周囲からどんな目で見られて生きてきたか。
夢の中であたいのおかんがメッタ刺しされるんだよ。
300度近い油の中に顔を突っ込まれるんだよ。
そんな悪夢を1日中幼い頃から見て・・・・

「普通でいられるの?」
「そもそも普通って何?」
「あたいは精神異常者なの?」

PTSDを知らずに語る医者は好き勝手言うよ。
地獄に落ちろ!
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