青蝶夢 *Ⅱ*
家に着いた私の頬を、貴方は
強く引っ叩いた。

「お前、自分のやってる事が
 分かってるのか?
 
 アイまで
 捲き込んで・・・」

私は、彼が怖くて

何もいえない。

「いい加減にしろよ
 どこまで、俺を
 バカにすればいい」

彼の悲しみは

計り知れないほど、深い。

傷ついた心で、伊吹は
夕方の街に消えていく。

『君が望むなら
 俺が連れ去ってあげる』

大切な貴方を、私は傷つけた。

彼の苦しみ、憎しみは

誰に向ければいい。

愛する人に

裏切られた伊吹・・・

日は沈み、辺りは暗くなる。

あの人は、帰って来ない。

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