青蝶夢 *Ⅱ*
振り返り、そのドアを
あけたくて堪らない衝動に
駆られる。

ドアに触れた手を放して
私は、娘を抱いて歩く。

流れる涙を拭うこともなく・・

私は、見えなくなる
貴方のドアに振り返り
告げた。

「さようなら」

誰もいない・・・

芳野は、部屋のドアを

静かに閉める。

その儚い音が、悲しく響く。

タクシーの中、私は娘を
抱きしめて泣いた・・・

人を愛することは

こんなにも切ない。

愛は、とても深い・・・
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