青蝶夢 *Ⅱ*
感謝なんてされたい訳じゃ無い

俺は、ただ・・・

お前の辛い顔を
見たくなかっただけだ。

『足手纏いになるから
 ヒイロから手を引くって
 言うのかよ、お前・・・』

病室を出ようとした俺を
呼び止めて、車のキーを
投げた、お前の悲しい顔を
見たくなかっただけ・・・

芳野の声が変わる。

深い声・・・

「そんなお前に
 酷だと思うが
 俺は、言わせてもらう」

私は、二人から姿を隠した
場所で、息を飲む。

彼は、告げる。

「お前から、ヒイロを奪う」

伊吹は

とても悲しい顔をした。
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