青蝶夢 *Ⅱ*
『お湯が沸いてる』

『いいよ』

『だめだよ・・・
 火事になるよ』

芳野の元を離れ、慌てて火を
止める秘色を呼ぶ、深い声。

『ヒイロ、おいで』

芳野の元へ戻る途中、秘色は
エプロンのポケットから
飴玉を取り出し包み紙を
開ける。

そして、瞳を閉じて口づける
芳野の唇に無理やり飴玉を
入れてあげた。

『うわぁっ、甘・・・』

『いちごミルク味だもん
 それ舐めて大人しく
 していてください』

その場を離れようとした秘色
を、芳野は、また呼び止める。

『そうだ、ヒイロ
 ちょっと、耳かして』

『何?』
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