【完】トリプルスレット
「まあ、その、なんだ…ごめんな」


「は!?」


消え入るような声で確かに聞こえた謝罪の言葉。


「俺、小学校の頃からバスケ一筋だったから、出来ないお前の気持ちとか、気づいてやれなくて」


「……なんか、気持ち悪いです」


「は!?人が謝ってるのに気持ち悪いってなんだよ」


内野コーチが怒りの表情を私に向ける。


「内野コーチが絶っ対言わないような言葉だったんで」


「……お前、マジしごく。覚悟しとけよ」


「はい。もう覚悟できてますから」


私と内野コーチは目を合わせ、ニッと笑い合った。


その日から、私と内野コーチとの意地の張り合いのような練習が始まった。




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