子供は大人に恋をする
どうしてこの機械に食パンを入れるだけで焼けるのか不思議で、一度指を入れようとしたら浅田さんに叱られました。でもその後「怪我がなくてよかった」って抱き締めてもらったので、僕はもう指を入れない事に決めました。浅田さんの悲しそうな顔は見たくないからです。
僕がトースターを見つめている間に目玉焼きとカリカリベーコンは出来上がったようで、コーヒーの苦い匂いと一緒に美味しそうな匂いが漂ってきました。やっぱりコーヒーの匂いは苦手なのでしゃがんで浅田さんの足に顔を押し付けたら、軽く頭を叩かれました。何するんですかって言おうとしたらトースターが鳴ったので、僕は何も言えませんでした。


「マコ、今日は好きなだけジャムを塗ってもいいよ」
「ほんとですか!?」


いつもは虫歯になるから少しだけって言われいてる僕はとても嬉しくなって、急いで椅子に座りました。焼けて熱いパンは僕では触れないので、浅田さんがお皿に置いてくれました。たっぷりのバターとイチゴジャムを塗って、僕は準備万端です。テーブルに手をついて向かいの浅田さんに顔を近付けました。


「おはようございます」
「おはよう」


朝の挨拶は、ちゅうです。
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