『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第１４１話

面白くない毎日と足の麻痺が進む恐怖に１つの疑問が浮かんできた。

「なんで、足が動かなくなったら移植できないんだよ。足が動かなくなったら死ねってことかよ・・・足が動かなくても肝臓には関係ないだろ・・・歩けなくなったら本当に帰国しなければいけないのだろうか・・・社会復帰が難しい人間には移植できないってどういうことなんだよ・・・」



　【あの頃の僕はわかっていなかった。生きていくということがわかっていなかった。移植をして生きていくということがどういうことなのか、全くわかっていなかった・・・。】
　


そんな不安を感じてイライラしていた夜更けに、幼なじみの広告マン、相楽敏哉から国際電話があった。

「もしもし・・・」気怠そうに応える昭太郎。

「昭太郎、元気ないね」

「そんなことないよ」
　昭太郎は電話線をのばしながら自分の部屋に電話を持ち込んだ。

「元気出せよ」

「・・・簡単に言うなよ」

「なんだよ、別にそういうつもりじゃ」

「じゃあ、元気出したらいいことあんのかよ」突然キレ出す昭太郎。

「なんだよ・・それ」戸惑う敏哉。

「あぁ、で、何だ？」さらに怠そうに応える。

「何だはねぇーだろ、心配してんだろ」敏哉の声も荒くなってくる。

「心配してもらっても何も変わらねぇーよ」

「・・・・」

「・・・調子悪いのか？」と敏哉が冷静に訊く。

「おぉ、悪いよ、もう歩けなくなりそうだ、最近は歩き方を考えて歩いてるよ。転ばない歩き方教えてくれよ！」投げやりな口調の昭太郎。