『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第5話

「君は国内線なの?国際線?」
 と搭乗ラインに興味が集中する藤木光隆。
洞察力が鋭く、冷静で皆の相談係の男だ。
いつかは作家になりたいという夢を持ちながら編集プロダクションに就職したライターだ。

「へぇーその合図が昨日はお持ち帰られたサインなの?JALのキャビンアテンダントの合言葉なんだ~。今度搭乗した時チェックしてみよぅ」
 と軽快なトークで盛り上がる目利きの敏哉は広告会社の営業マン。
昭太郎とは幼い頃からの悪友だ。
その好青年の容姿からはラッパーになりたいという野望は想像できない。

「じゃぁ、今度俺たちと改めて飲み会でもやらない?どう?」

 としきりたがるに昭太郎に「ホントは俺たちじゃなくて、俺とじゃないの?」とチャチャを入れる勇介はなぜか愛される超ハイテンションお調子モノで、今はパチンコ屋でバイトをしている。
そして自由人を気取っている・・・。


 昭太郎は席を外してトイレで吐いていた。
便器に向かって

「ちょっと頑張りすぎかなぁ・・・」と呟き、また吐いた…「オウェ」…。

 青白い顔をしてトイレから出てきた昭太郎はネクタイをゆるめ、壁に寄りかかってタバコを吹かしていた。

「大丈夫ですか?」
 とのぞき込むように声をかけてきた女性に昭太郎は戸惑った。

「ゆき?ユキ?由紀なのか?・・・」

「やっぱり昭太郎さんだ」

 彼女は三枝由紀24歳。笑顔が印象的な女性だが感情が豊すぎて昔は良く泣いていた。

大学時代の後輩で証券会社に勤めるOL。


5年ぶりの再会だった・・・。


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