『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第6話

 フロントガラスに降りつける雨。
車を道端に駐車した昭太郎はワイパーを止めた。
夜景が雨でにじみはじめる。
 再会から4度目の帰り道。
車の中で昭太郎は由紀に告白をした。

「俺、・・・由紀のことが好きなんだ」

「わたしもスキ!ありがとう」

「・・・・・」

あっけない返事に、苦笑いをした昭太郎は深呼吸して、もう一度

「そう言う意味じゃなくて、好き、なんだけど・・・」

 とハンドルにアゴを乗せた。
 小首を傾げながら目線を右上に考えて3秒後、告白にはじめて気付いた助手席の由紀はとっさに背を向けた。

車がシャーという音を立てながら横を通りすぎる。

単気筒のバイクがマフラー音をパンパン響かせてすり抜ける。

対向からトラックのライトが2人を照らして通りすぎた。

考え深げに目を向ける由紀。

昭太郎が目を合わせると由紀は微笑んだ・・・。

「ありがとう」

「?・・それってどういうこと?」微笑み返す昭太郎。

「まぁ、いいじゃない」
 と由紀の微笑みは笑顔に変わっていた・・・。



 【あの頃の僕は普通より少し派手な生活、普通より少しいい車に、普通より少し遊んでいた。『普通より』という比較的な人生に何の疑問も感じないで生きていた。そんなことに何の意味があるのかということも考えないで・・・。】
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