入選作品「てっぺん祭り」【短編完結】
 モンタのまわりを猿村のみんなが囲んで拍手が鳴りやみません。
 ラビはその横で地面を叩いてくやしがっています。
 モンタは休む間もなく人ごみをかき分け、お医者さんを見つけました。
 「プーマンが大変なんです!」
 その声に会場中が静まり返ります。
 誰かが指をさし「プーマンだ!」、叫ぶその先に大きな体をゆすりながらのっそのっそとゴールに向かう姿が遠くに見えてきたのです。  歓声はプーマンコールに変わり、繰り返されるかけ声がプーマンのゴールを祝福しました。


 泉に月が映り、金メダルがモンタ、銀メダルがラビ、銅メダルがプーマンにかけられます。
 モンタが表彰台でインタビューに答えました。
 「自分の大好きなことでほめられて、すごくうれしいです。もっと速くなりたいから、これからも走り続けていきます。でも、今回の金メダルはプーマンです」
 猿村のみんなはモンタに拍手をおくります。それを聞いたプーマンは
 「おいらは仲間と楽しく戦えたことが一番うれしいです。そして、いっしょに練習してくれた仲間に感謝したいです。最後まで走りきれたのはみんなのおかげです。ありがとう」 と言いきりました。
 熊村のみんなも大喜びでさらに大拍手です。
 プライドの高いうさぎ村のみんなはラビが金メダルをとれなかったことが気に入らないらしく、腕組みをしています。ラビがマイクをにぎって静かに話しはじめました。
 「金メダルをとることができなくて、残念です。くやしいです。」
 うさぎ村のみんなはブーイングです。ラビは頭を下げたまま歯を食いしばっています。
 そこにラビの妹が前に出てきました。
 「みんな、お兄ちゃんを責めないで、昔うちのお父ちゃんがカメさんに負けたことで私もお兄ちゃんもイジメられたの…だからお兄ちゃんはいつか俺が勝って村のみんなに認めてもらうんだって、ずっと言ってたの…」


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