天使の足跡
舌打ちした八杉は、癒威と加奈を一瞥して階段を下りていく。

教師は出入り口に溜まった生徒をイライラしながら追い返している。


癒威は体の痛みを思い出して、ゆっくりとその場にへたり込んだ。

すぐに加奈が傍に膝をついて言う。


「大丈夫!?」


殴られた時に口が切れたのと、少し鼻血が出たのと、あとは肘が擦りむけていただけだった。

倒された時に擦ったのだろう。


「大丈夫、平気」


ベルトを締め直し、その辺りに投げ捨てられたTシャツを拾って着る。

ボタンが取れてしまった制服を拾うと、担任と3人で階段を下りていく。


制服のシャツはもう着られないし、ズボンは自分が流した血で汚れてしまって、
おかげで、午後の授業はジャージで出席するはめになった。


教室はひどくざわついていた。


そこに八杉たちの姿はない。


三谷や丹葉の視線を感じていたが、癒威は目も暮れずに自分の席に着いた。













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