天使の足跡

秘密を打ち明けた時点で、嫌われると思っていたのに……

拓也と加奈といい、三谷と丹葉といい、自分はすごく良い仲間に恵まれたなと思う。


「二人とも……本当にありがとう……」

「部活も、わざわざ諦めなくったって良いだろ? マネージャーなれよ」

「だけど…」


しばらくは腑に落ちないという顔をしていた三谷。

でも数秒後には、何かふっきれたみたいに癒威の手から退部届を奪い取ると、破いて笑い飛ばしてみせた。


「あ、ちょっ──!?」

「ポジションは俺が貰う。お前の分まで働いてやるっつーの! それに、どうせ今までだってサボリまくってたんだから、マネージャーってことにしとけ! お前いないと、俺らも走れねえよ」

「そうそう! だから、また一緒に部活やろう」

「そういうことだ。絶対辞めんなよ。約束だぞ!」


そう言って、二人は踵を返して走っていく。


癒威は何か言おうとして、……しかし、やめた。



(ありがとう、三谷、丹葉──)



言おうとしたその言葉を、心の中だけでそっと呟いた。











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